論文掲載　Neuromodulation: Technology at the Neural Interface

　理学療法学科の工藤大輔助教、京都大学の山口智史教授（本学客員教授）らの研究グループによる研究成果が国際学術誌『Neuromodulation: Technology at the Neural Interface』に掲載されました。
　本研究は、非侵襲的脳刺激法の一種である間欠的シータバースト刺激（intermittent theta burst stimulation：iTBS）について、刺激周波数を脳律動に合わせて調整すると、効果が強く・長く続き、個人差も小さくなることを示しました。
健常成人30名を対象に、左一次運動野に190秒の刺激を ①個別化iTBS、②通常iTBS、③偽刺激で比較しました。個別化iTBS条件では、脳波‐筋電図コヒーレンスのβ帯域ピーク周波数に合わせて、iTBSの設定を最適化しました。結果として、運動誘発電位は個別化iTBSで直後に増大し、その増加が最大50分間持続しました。通常iTBSは直後の増大が一部でみられたものの持続せず、偽刺激では有意に変化しませんでした。さらに反応者の割合は個別化iTBSで62.5%、通常iTBSで37.5%でした。
　これらの結果は、リハビリで用いる脳刺激を「同じ設定で一律に行う」のではなく、「個人の生体リズムに合わせて最適化」することで、効果のばらつきを減らせる可能性を示しています。

論文タイトル：Individualized Beta Frequency Intermittent Theta Burst Stimulation Enhances Corticospinal Plasticity in Healthy Adults.
著者：Daisuke Kudo, Mitsuhiro Nito, Akio Kikuchi, Shigeo Tanabe, Tomofumi Yamaguchi.
掲載誌：Neuromodulation: Technology at the Neural Interface
URL：https://doi.org/10.1016/j.neurom.2025.10.069