論文掲載 Brain Injury
山形県立保健医療大学大学院博士後期課程作業療法学分野D2の久保田純平さん(指導教員:外川 佑教授)らによる研究成果が、国際学術誌 Brain Injury に掲載されました。本研究は、脳損傷および脳卒中後の運転行動について、運転シミュレータおよび実車評価に基づく既存研究を体系的に整理したスコーピングレビューです。
脳損傷や脳卒中後には、運転に必要な認知・運動機能の低下が生じることが知られていますが、評価で捉えられてきた運転行動の特徴は十分に整理されていませんでした。本研究では、PRISMA-ScRに基づき38件の研究を分析し、運転行動を操作的・戦術的・戦略的水準に分類して検討しました。その結果、運転評価に不合格となった脳損傷者では、車線逸脱や不十分な視覚探索など、戦術的水準のエラーが一貫して多く認められることが明らかになりました。
本研究は、米国コロラド州立大学保健人間科学部(College of Health and Human Sciences)リハビリテーションサイエンス学科に所属する Neha Lodha 博士の研究室との国際共同研究として実施されました。同研究室では、脳損傷や神経疾患を有する人を対象に、運動制御、認知機能、日常活動におけるパフォーマンスを科学的に評価し、リハビリテーションの質向上に資する研究が行われています。特に、実環境およびシミュレーション環境を用いた機能評価や行動分析を専門としており、本研究においても運転行動の理論的枠組みと結果解釈に関する重要な知見が提供されました。また、本研究は山形県立中央病院の作業療法士・金子隆生先生の協力も得て行われました。本成果は、脳損傷・脳卒中後の運転再開判断において、戦術的能力の評価の重要性を示し、臨床評価手法の高度化に貢献することが期待されます。
論文情報
Kubota, J., Tiwari, A., Kaneko, T., Lodha, N., & Sotokawa, T. (2026). Driving behavior in simulator and on-road assessments in brain injury and stroke: a scoping review. Brain Injury, 1–36. https://doi.org/10.1080/02699052.2026.2617467