論文掲載 The Journal of Physiology
作業療法学科の仁藤充洋教授、京都大学の山口智史教授(本学客員教授)らの研究グループによる研究成果が国際学術誌『The Journal of Physiology』に掲載されました。
本研究は、頚部に経皮的脊髄ランダムノイズ刺激(transcutaneous spinal random noise stimulation:tsRNS)を与えることで学習した上肢の運動スキルの記憶保持が促進されることを明らかにしました。健常者を対象にした実験において、提示したターゲットに合わせてつまみ力を調整する運動課題を20分間実施させたところ、課題中にtsRNSを適用した群では、1日後および7日後の運動成績が偽刺激群と比べて高く維持されていました。さらに、脳と筋の間の機能的連結(ベータ帯域の皮質-筋コヒーレンス)は介入直後に増加し、その変化量は1日後の運動成績と正の相関を示しました。
また、tsRNSは上行性感覚入力増強と大脳皮質内の促通性回路の興奮性増強を通じて、皮質脊髄路の伝達効率を間接的に高めている可能性が示唆されました。
これらの結果から、tsRNSは中枢神経損傷後のリハビリテーションにおいて、運動記憶の保持を促進する新たな介入手段になることが期待されます。
論文タイトル:Transcutaneous spinal random noise stimulation enhances motor memory consolidation and corticospinal transmission in humans
著者:Mitsuhiro Nito, Daisuke Kudo, Tadaki Koseki, Ippei Nojima, Shigeo Tanabe, Tomofumi Yamaguchi
掲載誌:The Journal of Physiology
URL:https://doi.org/10.1113/JP287804