令和５年度卒業式・学位記授与式

　卒業生の皆さん、修了生の皆さん、保健医療学部の卒業および保健医療学研究科の修了、誠におめでとうございます。本学入学以来、皆さんが、積み重ねた日々の努力が実り、本日を迎えることができました。私共教職員一同にとりましても大変悦ばしく、心よりお祝いを申し上げます。卒業生・修了生の皆さんを今日まで物心両面で支えてこられましたご家族・ご親族・関係者の皆様にとりましても、大変待ち望まれたご卒業・ご修了であろうと拝察しております。あらためて、お慶びを申し上げます。

　また、本日は、山形県知事 吉村 美栄子（よしむら みえこ）様、本学同窓会会長 長塚 真紀子（ながつか まきこ）様をはじめ、本学にゆかりの深い皆様からご臨席いただいております。ご来賓の皆様、ご多忙中のところ、誠にありがとうございます。

　さて、皆さんは、本学に在籍した4年間に実にいろいろなことがあったと思います。周囲に目を向けても、29歳の大谷翔平選手が大リーグで大活躍をしてMVPや本塁打王に輝いたり、21歳の藤井聡太竜王が将棋界で史上初の八冠に輝いたりと若い世代が大活躍しました。医療面では何といっても新型コロナウィルス感染症の猛威があげられます。しかし、世界中の医療関係者が励み、ノーベル生理学・医学賞に輝いたカタリン・カリコ教授やドリュー・ワイスマン教授のメッセンジャーRNAを用いた新型コロナウィルスワクチンの開発などにより、なんとか日常の暮らしを取りもどすことができ、このような式典の開催も可能になったわけです。これらすべてに共通するのは、人並み以上の絶え間ない努力をしてきたことと、過去にとらわれず新しいことに挑戦し続けたことです。日々新たな挑戦・革新と継続、これらなしに私たちの未来はありません。

　卒業に当たって皆さんに特にお願いしたいことが２つあります。１つ目は、ぜひ、本学で学んだことを誇りとして、本学卒業生としての矜持を忘れることなく過ごしていってほしい、本学の旗を背中に背負って生きていってほしいということです。本学は、2000年に4年制大学として開設され、これまでの卒業生は約2,000人を数え、山形県内はもちろん、東北地方や全国で保健医療の専門職や指導者として活躍しています。これからは、いよいよ皆さんもその輝かしい一人となるわけです。

　本学で、皆さんは、少人数制によるきめ細かな教育、充実した多職種連携教育、多様な臨床・臨地実習の場で卒業生のネットワークや地域の協力に支えられた質の高い実践教育を受けてきました。また、実践的な英語教育や海外交流を基礎に、国際感覚豊かでグローバルに活躍できる世界水準の人材として育成されました。ぜひ自信をもって社会に飛び出していってください。私は一昨年４月に本学に着任して丸二年になります。英語の授業に国際学会で使える会議英語の習得を加えました。また、メンデルの法則のメンデルや心臓のプルキニエ線維のプルキニエにゆかりのある欧州、チェコのマサリク大学医学部や、台湾で最古・最大の看護・健康系総合大学である国立台北護理健康大学と国際交流協定を締結しました。さらに、中国・上海の大学とも締結の予定で、国際化をさらに進めていきます。このような母校に誇りを感じながら、各方面で活躍していってください。。

　お願いしたいことの２つ目は自己研鑽です。これからは、皆さんが本学で学んだことを生かしながら地域が育ち、世界が育つように、地域・世界で貢献していくことになります。その意味では、今日はその初日にすぎません。医療・看護・福祉の進歩は日進月歩です。本学で学んだ皆さんの知識は、残念ながらあっという間に古くなってしまいます。時代遅れで誤った古い知識や技術のままで患者さんに対応するようなことが決してないように、自分を厳しく律しながら常に自分を磨いて下さい。それがプロフェッショナルということです。

　国家試験合格はプロフェッショナルの入り口にすぎません。これから社会に出て一生涯の研鑽が必要になります。皆さん、ぜひ、学会に入会し、学会雑誌を読み、学術集会に参加して学びを続けてください。専門書や専門雑誌を購入し、英文論文をはじめとする学術論文を読んで、知識を日々新たにしてください。もちろん、自ら発表もしてください。

　本学では大学院での教育やリカレント学習の場を用意しています。卒業後もどうぞ母校を利用してください。皆さんにお願いしたいことは、以上の２つです。

　春の暖かさが少しずつ増してくるこの時期の気候は、卒業の慶びやこれからの仕事に対する期待が膨らむ皆さんの気持ちを象徴しているようにも思います。皆さんの輝かしい将来と計り知れない可能性を期待して、令和5年度の卒業式の告辞とさせていただきます。

2024年3月12日
山形県立保健医療大学学長　上月正博