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令和5年度入学式 式辞

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。山形県立保健医療大学の教職員を代表し、心からお祝いを申し上げます。ご家族や関係者の皆様のお慶びもひとしおのことと拝察いたします。重ねて、お祝い申し上げます。

 また、本日の式典につきましては、コロナ禍での挙行であることを踏まえ、招待者を限定してご案内させていただきましたところ、山形県知事 吉村 美栄子様をはじめ、本学にゆかりの深い皆様からご臨席いただいております。ご来賓の皆様、ご多忙中のところ、誠にありがとうございます。

 さて、新入生の皆さんがこの輝かしい日を迎えることができましたのは、皆さん自身の能力や努力によるわけですが、同時にご家族のご協力や恩師、先輩、友人など皆さんを囲む沢山の人々のご指導やご支援があってのものです。日々感謝の気持ちを忘れずに、勉学に、研究に励んでいただきたいと存じます。

 本学の建学の理念は、「幅広い教養と豊かな人間性を備え、高度な知識と技術を持ち、専門職としての理念に基づき行動できる人材を育成するとともに、地域に開かれた大学として保健医療に関する教育・研究の成果を地域に還元し、もって、県民の健康と福祉の向上に寄与する」というものです。本学は独立行政法人化しましたが、山形県が運営費の大部分を負担している公立大学です。公立大学は、地域における高等教育の機会の提供と、地域社会での知的・文化的拠点としての役割を担っています。特に、本学は保健・医療系の大学ですので、地域の健康増進・保健医療環境の向上への寄与が期待されています。

 保健・医療は、人と向かい合う仕事、いわば究極のサービス業です。いくら豊富な知識や高い技能を身につけていても、相手を深く理解し、痛みを共感することができる豊かな人間性やコミュニケーション能力がなければ、その知識や技術を充分に生かし切ることはできません。豊かな人間性やコミュニケーション能力は、たくさんの書物を読むことに始まり、多くの人々と交流し、様々な体験を通して磨かれてゆくものです。医療系の大学である本学でも、一年次には、一般教養科目の学習が中心になるのもそのためです。どうぞこれらの科目を積極的に履修し、さらに自ら読書ならびに人との交流に励んで高い資質を育んでいただきたいと思います。

 皆さんは保健・医療のエキスパート、プロフェッショナルを目指すわけです。それに必要な膨大な知識・技能の修得が本学での勉学の主体となることは言うまでもありません。ただ、保健・医療の進歩は日進月歩です。本学で学んだ皆さんの知識は、卒業後にはあっという間に古くなってしまいます。卒業後に、時代遅れで誤った古い知識や技術で患者さんに対応するようなことがあってはなりません。一生涯、自分を厳しく律しながら常に自分を磨いていく必要があります。グローバル化は保健・医療でもすでにおきています。皆さんは英文論文を読んで、知識や技術を日々新たにする必要があります。そこで、本学では、実践的な英語教育にも力を入れています。例えば、国際学会で使える会議英語構文100の習得はその取組の一つです皆さんが卒業後にきちんと一人で英文論文を読んだり、国際学会で発表したり、質問したりできるような国際的に活躍できる人材を育成します。もちろん、皆さん自身のやる気にかかっていますので、ぜひチャレンジしてください。

 本学は、米国や欧州の大学と国際交流協定を結んでいます、今年度は、さらに多くの海外の大学との交流も計画しています。これらの機会も積極的に利用していただきたいと思います。このような海外との交流は、皆さんに多様性を生み出し、必ずや将来への大きな糧になると確信いたします。

 本学に入学したみなさんは、是非、地域での学び、地域への貢献、ということも意識した大学生活あるいは大学院生活を送っていただきたいと思います。ただ、地域で学ぶ(すなわち、大学や実習先で学ぶ)、地域を学ぶ(すなわち、地域の特性を学ぶ)、日本と世界を学ぶ(すなわち、英文論文や海外の大学との交流を通じて日本や世界の情勢を学ぶ)、これらをとおして、地域が育つ(医療関係者として地域に貢献する)、日本と世界が育つ(すなわち、日本・世界に貢献する)ことができるのです。つまり、本学でしっかり学び経験すれば、地域のみならず、日本や世界で通用し、貢献できるプロフェッショナルになれるのです。

 私の好きな言葉の一つに「士別三日、即更刮目相待(しわかれてみっか かつもくしてあいまつべし)」があります。三国志にある一節で、腕っぷしが強いだけが自慢の武将が、師匠のすすめで勉学に励んだ結果、短期間で周囲が驚くほどの文武両道の立派な人物になったという話です。すなわち、立派な人は別れて三日もたてば、別人のように進歩している。だから相手と再会するときは目をこすって相手をしっかり見るようにしましょう。期待して将来の結果を待ちましょうという意味です。皆さんも日々研鑽し、週末や連休に集中してことをなせば、大きく変貌し、周囲を驚かせることができるのです。どうか、志を高く、日々邁進してください。

 ご列席いただいたご家族・ご親族の皆様方、本日入学を許可され将来の夢に向かって出発したご子息・ご息女を、今までどおり暖かく見守り、ご支援いただきたいと存じます。

 最後に、ご臨席のご来賓の皆様、本学の在学生、卒業生、実習や研究を受け入れてくださっておられる保健・医療・福祉の病院・施設の関係者各位、そして、山形県および関係諸機関に、本日の新入生が各々の分野の専門職として、りっぱに成長できますように、一層のご指導・ご鞭撻賜りますようお願い申し上げて、式辞とさせていただきます。

2023年4月4日
山形県立保健医療大学学長 上月正博


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