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令和7年度入学式 式辞

 新入学生の皆さん、ご入学おめでとうございます。山形県立保健医療大学の教職員を代表し、心からお祝いを申し上げます。ご家族や関係者の皆様のお慶びもひとしおのことと拝察いたします。重ねて、お祝い申し上げます。

 また、本日は、山形県副知事 高橋 徹(たかはし とおる)様、山形県議会副議長 楳津 博士(うめつ ひろし)様、本学同窓会会長 長塚 真紀子(ながつか まきこ)様をはじめ、本学にゆかりの深い皆様から多数ご臨席いただいております。ご来賓の皆様、ご多忙中のところ、誠にありがとうございます。

 さて、新入学生の皆さんがこの輝かしい日を迎えることができましたのは、何といっても皆さん自身の努力の賜物です。そしてご家族のご協力や恩師、先輩、友人などのご指導やご支援があってのものです。したがって、日々感謝の気持ちを忘れずに、勉学に、研究に励んでいただきたいと存じます。

 本学は独立行政法人化しましたが、山形県が運営費の大部分を負担している公立大学です。ですから、地域における高等教育の機会の提供と、地域社会での知的・文化的拠点としての役割を担っています。特に、本学は保健・医療系の大学ですので、地域の健康増進・保健医療環境の向上への寄与が期待されています。皆さんは本学の建学の理念をご存じでしょうか? それは、「幅広い教養と豊かな人間性を備え、高度な知識と技術を持ち、専門職としての理念に基づき行動できる人材を育成するとともに、地域に開かれた大学として保健医療に関する教育・研究の成果を地域に還元し、もって、県民の健康と福祉の向上に寄与する」というものです。ちょっと長いのですが、それが皆さんや本学へ大きな期待が寄せられている証拠です。

 保健・医療は、人と向かい合う仕事です。いわば究極のサービス業です。したがって、豊富な知識や高い技能に加えて、相手を深く理解し、痛みを共感することができる豊かな人間性やコミュニケーション能力が必要です。この豊かな人間性やコミュニケーション能力は、単にこれまで皆さんが受けてきた通常の授業・講義で培われるわけではありません。通常の授業・講義を離れて、多くの人々と交流したり、たくさんの書物を読んだりを初めとした様々な体験を通して磨かれてゆくものです。また、先人が築いてきた哲学や心理学なども役立ちます。本学の一年次では、一般教養科目としてこれらを学ぶきっかけをつくります。どうぞこれらの科目を積極的に履修し、さらに自ら読書や人との交流に励んで高い資質を育んでいただきたいと思います。

 私事になりますが、私は生まれも育ちも山形市です。母が山形市で元気に独居生活を送っており、昨年、満百歳になって岸田前総理大臣からお祝いの賞状と銀杯をいただきました。ところが、母は今年のお正月に道端で転倒して大腿骨を骨折し、山形県立中央病院に救急搬送されました。そこで手術で骨折を治していただき、急性期リハビリテーションを行っていただきました。その後、整形外科疾患なので山形済生病院で回復期リハビリテーションを行っていただき、数日前に元気に自宅に退院し、元通りの生活に戻ることができました。本日の来賓のなかに、山形県立中央病院の鈴木院長、菅井看護部長、山形済生病院の石井院長がおられます。母がお世話になり本当にありがとうございました。また、両病院の看護師、理学療法士、作業療法士の中に本学の卒業生が多数おり、プロフェッショナルとしてすばらしい働きぶりであり感銘を受けました。大変お世話になりありがとうございました。

 今後、新入学生の皆さんも先輩方のような保健・医療のエキスパート、プロフェッショナルを目指すわけです。それに必要な膨大な知識・技能の修得が本学での勉学の主体となることは言うまでもありません。しかし、保健・医療の進歩は日進月歩です。本学で学んだ皆さんの知識は、卒業後にはあっという間に古くなってしまいます。本学卒業後も常に自ら学んでいく必要があります。皆さんの先輩方はそのようにしっかりと歩んでいるわけです。

 山形県の医療・看護・リハビリテーションのレベルは、国際水準であらねばなりません。私は3つの国際英文雑誌の編集長をしています。グローバル化が進んでおり、新たなかつ重要な医療・看護・リハビリテーションの情報はすべて英語で発信されており、それを迅速にキャッチできる能力が必要です。すなわち、皆さんが卒業後も一人で英文論文を読んだり、英語で発表したりできるように、本学では、在学中から実践的な英語教育にも力を入れています。私は本学に着任して丸三年になりますが、教職員の皆さんと一致協力して、英語の授業に国際学会で使える会議英語の習得を加えました。さらに、卒業論文に関しては担当指導教官の丁寧な指導による英文論文の検索・読解をもとにした論文作成を行うことを義務化しています。

 本学は、米国、チェコ、中国、台湾の大学と国際交流協定を結んでいます、今年度は、さらにカナダとルーマニアの大学とも締結の予定で、国際化をさらに進め、世界水準の教育・研究を推進します。学生が米国などへ海外研修に赴き、見事に発表を行うなど貴重な体験をしています。このような海外との交流は、皆さんに多様性を生み出し、必ずや将来への大きな糧になると確信いたします。

 本学に入学したみなさんは、是非、地域での学び、地域への貢献、ということも意識した大学生活あるいは大学院生活を送っていただきたいと思います。本学でしっかり学び経験すれば、地域のみならず、日本や世界で通用し、貢献できるプロフェッショナルになれるのです。 

 誰にも無限の可能性があります。しかし、なかには可能性を開花させずに眠らせたままの人もいることも事実です。皆さんは先月まで高校の先生の授業をしっかり受講してきた方たちだと思いますが、本学は大学です。皆さんは受け身にならず、もっと自主的に学んだり体験したりしてください。日々研鑽し、週末や連休に集中してことをなせば、コンピュータ操作に習熟したり、テキストを1冊読破したりすることはたやすいはずです。どうか、志を高く、日々邁進してください。

 ご列席いただいたご家族・ご親族の皆様方、本日入学を許可され将来の夢に向かって出発したご子息・ご息女を、今までどおり暖かく見守り、ご支援いただきたいと存じます。

 最後に、ご臨席のご来賓の皆様、本学の在学生や卒業生の実習や研究を受け入れてくださっておられる保健・医療・福祉の病院・施設の関係者各位、そして、山形県および関係諸機関に、本日の新入学生が各々の分野の専門職として、りっぱに成長できますように、一層のご指導・ご鞭撻賜りますようお願い申し上げて、式辞とさせていただきます。

令和7年4月3日
山形県立保健医療大学学長 上月正博


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