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研究科長だより特別号

 重要ニュース  本学大学院博士後期課程の設置認可

研究科長 藤井 浩美 2016年9月5日版 
 文部科学省へ平成29年4月開設予定で申請していた本学大学院博士後期課程の設置が8月31日付で認可されました。今後は、来年4月に向けて、2月初旬に学生募集を行う予定です。学生募集要項は11月に公表予定です。今回は、本学大学院博士後期課程の概要をお示しします
 
1.本博士後期課程設置の趣旨・理念
 本博士後期課程は、現行の保健医療学部と大学院修士課程(本博士後期課程設置に合わせ博士前期課程に改組予定)に積み上げる形で、保健医療学専攻とします。この保健医療学に関する学問体系は幅広く、特に公立大学の場合、設置団体である自治体が求める人材に対応する関係で保健医療学と銘打っていても、各大学の実情等により守備範囲が異なる状況にあります。本学では、保健医療学を「保健医療全般にかかわる課題や専門実践を対象とする学問領域」と広義に定義づけた上で、そのなかでも看護学、理学療法学、作業療法学の3つの分野を対象とした教育研究を保健医療学部並びに保健医療学研究科として展開してきました。この看護学、理学療法学、作業療法学の3分野は、保健医療専門職の就業人口からみて主要な領域であり、保健医療に関する学問領域を包括するに充分な構成と考えます。さらに、看護学、理学療法学、作業療法学の各分野の連携を強化し、学際的な課題に対応するには、このような課程構築が重要と考えます。
 本博士後期課程の目的は①地域包括ケアや多職種連携等の変化しつつある保健・医療・福祉に対応しうる創造的な知識・技術を探求し、看護学、理学療法学、作業療法学、それぞれの視点から高度な研究能力及びその基礎となる豊かな学識を基に、あらたな「知」を提示できる人材、②地域課題を踏まえて保健・医療・福祉に関する高度な教育研究を自律的にリードできる人材、及び③保健医療活動のリーダーとして、新たな看護やリハビリテーション等のサービスを研究・開発・実践できる保健医療の研究者あるいは高度専門職者を養成することです。この目的を達成するために、修士課程(博士前期課程)で形成された看護学、理学療法学、作業療法学の各分野の連携をさらに強化し、これらの分野を統合した1つの専攻により専門的かつ包括的な教育研究を行うものであり、上述した様々な課題や必要性に対応する上で、本博士後期課程設置の意義は極めて高いと考えます。
 
2 研究科、専攻等の名称及び学位の名称
(1) 研究科の構成
 本博士後期課程では、看護学、理学療法学、作業療法学の各分野が相互に連携することにより、一つの課程を構成します。本博士後期課程では、教育研究システムとして全ての学生に、豊富な知識・経験を持つ教員から指導を受ける機会が保証されています。その結果、保健医療に関連する様々な領域の知識、技術、考え方、解決すべき問題点等を共有し、学生自らの職業基盤と関連する学術分野とのかかわりの下、幅広い視野で理解し行動する人材を育成できます。本大学院の理念や教育指導を実現するために、本博士後期課程は1研究科1専攻とします。また、1専攻の下に、修士課程(博士前期課程)に準じて、看護学分野、理学療法学分野、作業療法学分野の3分野を配置します。
 
(2) 研究科、専攻等の名称
 本博士後期課程の名称は、「山形県立保健医療大学大学院保健医療学研究科保健医療学専攻博士後期課程」とし、保健医療学の1専であり、学生の専門に応じて、看護学分野、理学療法学分野、作業療法学分野の3分野を置きます。基本的な修業年限は3年とし、教員の研究指導体制や現有施設の状況、隣接地域の大学院の状況を考慮して、定員は3名(分野配分は特定しない)とします。また、本博士後期課程では、社会人が修学しやすいよう、修学期間を最長5年とする長期履修制度を設けます。
 
(3) 学位の名称
 本博士後期課程修了者は、保健医療学専攻の下に、それぞれ看護学、理学療法学、作業療法学の専門性を極めて高度に修得することができます。加えて、修士課程(博士前期課程)の学位との整合性を考慮して、授与する学位の名称は学生が所属する専門分野に応じて、看護学分野の場合、「博士(看護学)」、理学療法学分野の場合、「博士(理学療法学)」、作業療法学分野の場合、「博士(作業療法学)」とします。
 
 表1 研究科、専攻等の名称及び学位の名称
研 究 科
の 名 称
保健医療学研究科
Graduate School of Health Sciences
専攻・課程の 名 称
保健医療学専攻 博士後期課程
Doctor Course of Health Sciences
学 位 の
名  称
博士(看護学)
 Doctor of Philosophy in Nursing
博士(理学療法学)
 Doctor of Philosophy in Physical Therapy
博士(作業療法学)
 Doctor of Philosophy in Occupational Therapy

 

3 教育課程の編成の考え方及び特色
 本博士後期課程は、上述した設置の趣旨を具体化するため、看護学分野、理学療法学分野、作業療法学分野のすべての学生が学際的に学ぶ「共通科目」と、分野ごとに開講する「専門科目」の2つの科目区分で教育課程を構成します。
「共通科目」では、保健医療全般にかかわる社会的課題や、社会発展に貢献する基盤となる多職種連携・協働に関するシステム、研究者・教育者や高度専門実践の指導者としての必要な理論や概念、さらに自律した教育や研究活動に向けた能力を養うための科目を講義や演習形式で配置します。分野の枠を超え3分野共通で複数の科目を選択科目として開講することで、複雑多様化した保健医療学分野の課題を理解し、よりいっそうの多職種連携の意識づけや課題解決に向けた多角的視野を涵養します。
一方、「専門科目」では、専門分野ごとに研究者・教育者や高度専門実践の指導者として必要な科目を配置し、専門職としての研究テーマや研究方法を追求する能力を涵養します。さらに、専門分野の実践及び学問の体系化による知の創生、社会発展に貢献できる博士論文の研究指導を行います。
 
表2 分野・科目構成
 
科  目  名
単 位
1前
1後
2前
2後
3前
3後
共通科目
保健医療福祉の連携・協働特論
2必修
 
 
 
 
 
研究と倫理
1必修
 
 
 
 
 
高等教育政策・教育方法特論
2選択
 
 
 
 
 
看護の発展と研究特論
2選択
 
 
 
 
 
リハビリテーションの発展と研究特論
2選択
 
 
 
 
 
生体反応と臨床応用特論
2選択
 
 
 
 
 
保健医療の社会的課題と対応特論
2選択
 
 
 
 
 
専門科目
看護学分野
コミュニティヘルス看護学特論
2選択
 
 
 
 
 
ヘルスプロモーション看護学特論
2選択
 
 
 
 
 
看護学特別研究Ⅰ
2選択必修
 
 
 
 
 
看護学特別研究Ⅱ
4選択必修
 
 
 
 
看護学特別研究Ⅲ
4選択必修
 
 
 
 
理学療法学分野
運動器理学療法学特論
2選択
 
 
 
 
 
神経理学療法学特論
2選択
 
 
 
 
 
呼吸器理学療法学特論
2選択
 
 
 
 
 
理学療法学特別研究Ⅰ
2選択必修
 
 
 
 
 
理学療法学特別研究Ⅱ
4選択必修
 
 
 
 
理学療法学特別研究Ⅲ
4選択必修
 
 
 
 
作業療法学分野
生活行為作業療法学特論
2選択
 
 
 
 
 
発達過程作業療法学特論
2選択
 
 
 
 
 
作業療法学特別研究Ⅰ
2選択必修
 
 
 
 
 
作業療法学特別研究Ⅱ
4選択必修
 
 
 
 
作業療法学特別研究Ⅲ
4選択必修
 
 
 
 

※特別研究については、3分野のうち1分野

4 教員組織の編成の考え方及び特色
 本博士後期課程では、設置の理念・目的に沿って次のような資質の教員で組織編成します。
① 看護学、理学療法学、作業療法学の担当分野に関して、極めて高度な教育研究上の指導力を有し、各々の分野において十分な教育研究実績があり、さらにこれらの領域における十分な臨床経験を有する教員
② 看護学、理学療法学、作業療法学の3分野に近接する学問領域における知見を、3分野と関連づけて教授できる極めて高度な教育研究上の指導力を有する教員
③ 看護学、理学療法学、作業療法学の3分野に近接する学問領域に高い関心を持ち、それぞれの視点で学際性の高い研究を展開(研究の国際化を含む)できる極めて高度な教育研究上の指導力を有する教員
 本学は、現在50名に及ぶ教員組織を有しており、主要な教育スタッフはその中から編成します。
 本博士後期課程では、大学院生1名に対して、指導教員として、主研究指導教員1名と副研究指導教員2名の3名が担当する体制であり、主研究指導教員と副研究指導教員1名は大学院生の当該分野の教員とし、副研究指導教員のもう1名は大学院生の当該分野とは異なる分野の教員とします。この体制により多角的視座から研究指導を行います。また、大学院生の当該分野とは異なる分野の副研究指導教員は、ハラスメント予防等の役割も担います。
 
5 教育方法、履修指導、研究指導の方法及び修了要件
(1) 教育方法・履修指導
本博士後期課程は前述の通り、「保健医療活動のリーダーとして、新たな看護やリハビリテーション等のサービスを研究・開発・実践できる保健医療の研究者あるいは高度専門職者の養成」を行うことを目的としています。この目的を達成する教育方法・履修指導として下記の履修モデルを用います。なお、具体的な履修指導にあたっては、主研究指導教員1名と副研究指導教員2名の3名体制で行い、学生の経験や適性等を勘案するほか、本人の希望も十分に踏まえるものとします。
 
表3 看護学分野 研究者・教育者モデル
学年
科目区分
科  目  名
単位数
前期
共通科目
保健医療福祉の連携・協働特論
研究と倫理
高等教育政策・教育方法特論
看護の発展と研究特論
後期
保健医療の社会的課題と対応特論
専門科目
コミュニティヘルス看護学特論 又は
ヘルスプロモーション看護学特論
看護学特別研究Ⅰ
通年
看護学特別研究Ⅱ
通年
看護学特別研究Ⅲ
                            単位合計
21
 
表4 看護学分野 高度専門職者モデル
学年
科目区分
科  目  名
単位数
前期
共通科目
保健医療福祉の連携・協働特論
研究と倫理
リハビリテーションの発展と研究特論
後期
生体反応と臨床応用特論
保健医療の社会的課題と対応特論
専門科目
コミュニティヘルス看護学特論 又は
ヘルスプロモーション看護学特論
看護学特別研究Ⅰ
通年
看護学特別研究Ⅱ
通年
看護学特別研究Ⅲ
                            単位合計
21
表5 理学療法学分野 研究者・教育者モデル
学年
科目区分
科  目  名
単位数
前期
共通科目
保健医療福祉の連携・協働特論
研究と倫理
高等教育政策・教育方法特論
リハビリテーションの発展と研究特論
後期
保健医療の社会的課題と対応特論
専門科目
運動器障がい動態解析学特論 又は
機能再建理学療法学特論
理学療法学特別研究Ⅰ
通年
理学療法学特別研究Ⅱ
通年
理学療法学特別研究Ⅲ
                            単位合計
21
 
 表6 理学療法学分野 高度専門職者モデル
学年
科目区分
科  目  名
単位数
前期
共通科目
保健医療福祉の連携・協働特論
研究と倫理
看護の発展と研究特論
後期
生体反応と臨床応用特論
保健医療の社会的課題と対応特論
専門科目
運動器障がい動態解析学特論 又は
機能再建理学療法学特論
理学療法学特別研究Ⅰ
通年
理学療法学特別研究Ⅱ
通年
理学療法学特別研究Ⅲ
                            単位合計
21
 
表7 作業療法学分野 研究者・教育者モデル
学年
科目区分
科  目  名
単位数
前期
共通科目
保健医療福祉の連携・協働特論
研究と倫理
高等教育政策・教育方法特論
リハビリテーションの発展と研究特論
後期
保健医療の社会的課題と対応特論
専門科目
生活行為作業療法学特論 又は
発達過程作業療法学特論  
作業療法学特別研究Ⅰ
通年
作業療法学特別研究Ⅱ
通年
作業療法学特別研究Ⅲ
                            単位合計
21
 
表8 作業療法学分野 高度専門職者モデル
学年
科目区分
科  目  名
単位数
前期
共通科目
保健医療福祉の連携・協働特論
研究と倫理
看護の発展と研究特論
後期
生体反応と臨床応用特論
保健医療の社会的課題と対応特論
専門科目
生活行為作業療法学特論 又は
発達過程作業療法学特論  
作業療法学特別研究Ⅰ
通年
作業療法学特別研究Ⅱ
通年
作業療法学特別研究Ⅲ
                            単位合計
21
 
 本博士後期課程では、社会人が修学しやすいよう、修学期間を最長5年とする長期履修制度を設けます。5年とした場合の履修モデルを、看護学分野・高度専門職者モデルを例にして示します。
 
表9 看護学分野 高度専門職者モデル(長期履修)
学年
科目区分
科  目  名
単位数
前期
共通科目
保健医療福祉の連携・協働特論
研究と倫理
後期
生体反応と臨床応用特論
保健医療の社会的課題と対応特論
 
前期
リハビリテーションの発展と研究特論
後期
専門科目
コミュニティヘルス看護学特論 又は
ヘルスプロモーション看護学特論
看護学特別研究Ⅰ
通年
看護学特別研究Ⅱ
通年
看護学特別研究Ⅲ
通年
                            単位合計
21
 
(2) 学位取得までのスケジュール
 上述した履修モデルを基盤に置いた研究活動となるようにスケジュールを設定します。履修科目の看護学特別研究Ⅰ・理学療法学特別研究Ⅰ・作業療法学特別研究Ⅰ(以下、特別研究Ⅰ)は研究活動の「研究課題決定・研究計画立案」に、看護学特別研究Ⅱ・理学療法学特別研究Ⅱ・作業療法学特別研究Ⅱ(以下、特別研究Ⅱ)は研究活動の「研究活動(倫理審査、データ収集・分析)」に、看護学特別研究Ⅲ・理学療法学特別研究Ⅲ・作業療法学特別研究Ⅲ(以下、特別研究Ⅲ)は研究活動の「博士論文としてのまとめ」に、それぞれ対応します。
研究指導については主研究指導教員1名と副研究指導教員2名の3名体制で行います。
  
表10 学位取得までのスケジュール(標準モデル)
時  期
研 究 活 動
備考(履修科目)
1年
  4月
前期
主研究指導教員、副研究指導教員の決定
 
共通科目5単位
 
後期
 
3月
研究課題決定・研究計画立案
 
研究計画発表会
共通科目2単位
専門科目:特論2単位
専門科目:特別研究Ⅰ2単位
2年
前期・後期
 
 
 
  2月
研究活動
 倫理審査
 データ収集・分析
 
中間発表会
 
専門科目:特別研究Ⅱ4単位
 
 
 
 
3年
前期・後期
 
 1~2月
  3月
博士論文としてのまとめ、投稿
 
審査・最終試験(公開発表)
研究科委員会の判定、学位授与
 
専門科目:特別研究Ⅲ4単位
 
 
 
表11 学位取得までのスケジュール(長期履修・4年モデル)
時  期
研 究 活 動
備考(履修科目)
1年
  4月
前期
主研究指導教員、副研究指導教員の決定
 
共通科目3単位
 
後期
 
 
共通科目4単位
 
2年次
前期
 
共通科目2単位
後期
 
3月
研究課題決定・研究計画立案
 
研究計画発表会
専門科目:特論2単位
専門科目:特別研究Ⅰ2単位
3年
前期・後期
 
 
 
  2月
 
研究活動
 倫理審査
 データ収集・分析
 
中間発表会
 
専門科目:特別研究Ⅱ4単位
 
 
 
4年
前期・後期
 
 1~2月
  3月
博士論文としてのまとめ、投稿
 
審査・最終試験(公開発表)
研究科委員会の判定、学位授与
 
専門科目:特別研究Ⅲ4単位
 
 
 
表12 学位取得までのスケジュール(長期履修・5年モデル)
時  期
研 究 活 動
備考(履修科目)
1年
  4月
前期
主研究指導教員、副研究指導教員の決定
 
共通科目3単位
 
後期
 
 
共通科目4単位
 
2年次
前期
 
共通科目2単位
後期
 
3月
研究課題決定・研究計画立案
 
研究計画発表会
専門科目:特論2単位
専門科目:特別研究Ⅰ2単位
前期・後期
 
 
 
  2月
 
研究活動
 倫理審査
 データ収集・分析
 
中間発表会
 
専門科目:特別研究Ⅱ4単位
 
 
 
4年次
前期・後期
 
博士論文としてのまとめ、投稿
 
専門科目:特別研究Ⅲ4単位
 
 
5年
前期・後期
 
 1~2月
  3月
博士論文としてのまとめ、投稿の続き
 
審査・最終試験(公開発表)
研究科委員会の判定、学位授与
 
 
お問い合わせ先
〒990-2212 山形県山形市上柳260 
公立大学法人 山形県立保健医療大学 教務学生課 電話:023-686-6688 FAX:023-686-6674