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大学院での経験が繋ぐ点と点(外川佑)

外川 佑 
(前期3期生 MSc, Ph.D in Engineering)
現在:新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 作業療法学科 講師
 
 私は2006年4月に山形県立保健医療大学大学院(以下、本学)保健医療学研究科作業療法学分野にフルタイム大学院生として入学しました.その後,2008年から新潟リハビリテーション病院で臨床現場を経験した後,現職場である新潟医療福祉大学の教員に2013年から着任しております.
 
 私は修士課程において,主研究指導教員の藤井浩美先生はじめ,佐藤寿晃先生,山形大学医学部解剖学第一講座教授の内藤輝先生,当時,内藤先生の元で研究をされていた理学療法学科の鈴木克彦先生らの熱いご指導・ご支援を受け,学部時代からの同期でもあり,現在,福島県立医科大学の准教授である藤田貴昭先生とともに,時に笑い合いながら,研究活動に明け暮れていました. 
 
 正直言いますと,当時,私はそこまで真面目な部類の学生ではありませんでしたし,決して要領が良いとはいえない学生でしたが,こんな私でも修士課程の2年間で現在につながる多くの発見や学びがありました.今でも鮮明に思い出すエピソードがあります.当時,私は質疑応答が全くの苦手であったため,予演会の場などで,質疑応答を通して多くの「批判」を受けました.これを読む方々にご注意いただきたいのですが,私が述べているのはあくまで「批判」であり,「批難」ではありません.批判はネガティブな印象を抱きますが,国語辞書で検索すると「物事に検討を加えて、判定・評価すること.」,「哲学で、認識・学説の基盤を原理的に研究し、その成立する条件などを明らかにすること.」とあります.論文発表会等の場では,忌憚のない厳しい意見が繰り出されます.ただし,それはあくまで研究に対しての「批判」であり,研究者に向けられた「批難」ではありません.当時は厳しい意見が飛び交っている印象しか受けませんでしたが,自身の論文をより良いものにブラッシュアップするための批判的な目で見た意見をいただいていたのだと今更ながら気付かされております.山形県立保健医療大学の大学院で学んだことは,現在の私にとって貴重な財産であると断言できます.
 
 現在でこそ,私は自動車運転に関する臨床研究を中心に行っていますが,当時は解剖学・生理学・運動学の基礎研究を行っており,様々な機器に当たり前のように触れていました.その経験値もあったおかげで機器の操作はさほど苦ではありませんでしたし,むしろ今でもPCを自作したりすることが好きなくらいです.そしてこの経験は,大学院修了後に獲得した科研費の研究で半側空間無視症例をターゲットにしたドライビングシミュレータのソフト開発などのプロダクト作成に繋がっています.かつて,スタンフォード大学の卒業式のスピーチでスティーブ・ジョブズは次のようにコメントを残しています.”you can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.” 邦訳は掲載しませんが,その時は無駄に見えることかもしれないが一生懸命に取り組むこと,それが将来何らかの形で実を結ぶ,それこそが大学院での経験だと思います.
 
 最後になりますが、当時からお付き合いいただいている皆様にこの場をお借りして感謝を申し上げるとともに,これからの未来を創る作業療法士の皆様が一人でも多く輩出されることを願ってやみません.
令和3年(2021年)4月5日